葬儀の日程を決める際、急なことで焦る人も多いと思います。とくに初めて喪主を務める場合、何から手を付けるべきかわからず、パニックになってしまうことも少なくありません。そうならないためにも、葬儀日程の決め方を把握しておきましょう。本記事では、葬儀を執り行う日程の決め方や注意点をまとめて解説します。
葬儀を執り行う際に考慮すべきこと
葬儀の日程を決める際には、複数の要素を総合的に考慮する必要があります。
参列者の都合
まず大切なのは、参列者の都合です。特に遺族や親族など身近な人々が無理なく集まれる日程であるかを確認し、必要に応じて週末や祝日に設定することで、遠方からの参列者にも配慮することができます。
菩薩寺の都合
次に、菩提寺の都合菩薩寺の都合も重要な要素です。
葬儀の多くは菩提寺から僧侶を招いて執り行われるため、寺院側のスケジュールを確認し、日程調整を行う必要があります。僧侶の都合が合わなければ、希望する日程での葬儀が難しくなる場合もあるため、早めの確認と調整が欠かせません。
火葬場・葬儀会場の空き状況
さらに、火葬場や葬儀会場の空き状況も葬儀日程を決めるうえで大きな影響を及ぼします。
特に都市部では火葬場の利用が集中することが多く、希望日程が埋まっている可能性もあります。また、火葬場は「友引」と呼ばれる日や年末年始に休館していることが多いため、事前の確認が必要です。同様に、葬儀会場の予約状況によっても日程を調整する必要が生じることがあります。
友引を避ける習慣に要注意
最後に、友引の日を避けるという日本の慣習にも注意が必要です。
友引の日に葬儀を行うと「友をあの世へ引っ張る」とされることから、多くの人がこの日を避ける傾向にあります。友引を気にしない人もいますが、気にする参列者がいる可能性もあるため、日程決定の際にはその点を考慮することが望ましいでしょう。
葬儀の日程を決める際の注意点
葬儀の日程を決める際には、参列者や費用、葬儀の進行上の都合など、さまざまな観点から慎重に検討する必要があります。
一日葬を選択する場合の注意点
まず、一日葬を選択する場合には特に注意が必要です。一日葬は通夜を行わず、告別式と火葬のみを1日で済ませる形式であり、平日の昼間に実施されることが多い傾向にあります。
そのため、仕事などの事情で参列が難しい人が出る可能性が高く、故人とお別れを希望する人の都合を考慮した日程設定が求められます。一日葬で家族葬が多い背景には、こうした時間的制約が関係しているのです。
葬儀まで日数が空くことがある
次に、葬儀までの日数が空く場合に発生する費用についても考慮が必要です。
火葬場の混雑や親族の予定調整などによって葬儀まで時間がかかると、その間の遺体の安置に費用がかかります。具体的には、安置施設の利用料やドライアイス代などが日数に応じて発生し、想定以上の負担となることもあります。安置期間が長引く場合には、追加料金や保管方法を事前に確認しておくことが重要です。
場合によってはエンバーミングも検討しよう
また、安置期間が長期になる場合には、ドライアイスでの対応だけでは限界があるため、エンバーミング（遺体を長期保存するための処置）を検討するケースもあります。
火葬まで7日〜10日以上かかる場合には、衛生面や費用面でもエンバーミングの方が有利となる場合があります。一般的に費用は15万円前後で、葬儀費用とは別途必要になるため、事前に予算を把握しておくと安心です。
訃報の連絡のタイミングについて
さらに、訃報の連絡についてもタイミングに注意が必要です。
親族など親しい関係者には先に訃報を伝えるのが一般的ですが、それ以外の関係者には葬儀の日程が確定してから連絡を行うのが通例です。日程が決まってから葬儀案内を一度に送ることで、混乱を防ぎ、連絡の手間を最小限に抑えることができます。
通夜から告別式までの流れを紹介
一般的な葬儀では、通夜から告別式、火葬、精進落としといった一連の流れを2日間で行うケースが多く見られます。
まず初日に行われる通夜は、夕方から夜にかけて営まれる儀式です。かつては夜通し行われていましたが、現在では午後6時頃に始まり、1時間前後で終了するのが一般的です。通夜の後には「通夜振舞い」と呼ばれる食事の席が設けられ、遺族が参列者をもてなします。
この時間もおおむね1時間程度です。翌日は告別式が行われます。火葬場の予約時間に合わせて午前または午後の早い時間帯に執り行われることが多く、故人との最後のお別れの儀式となります。告別式の後は遺族や親族が火葬場へ移動し、火葬を行うという流れです。
火葬後は初七日法要を行い、その後「精進落とし」の席が設けられるのが一般的です。これは、葬儀や火葬に参列した僧侶や親族への感謝を込めて振る舞われる食事の場です。
こうした一連の流れは多くの葬儀で踏襲されていますが、葬儀の形式によっては一部を省略することもあります。葬儀の進行は地域や宗派、遺族の意向によって異なるため、事前に全体の流れを把握しておくことが大切です。
まとめ
葬儀の日程を決める際には、焦らず冷静に多角的な視点から判断することが大切です。参列者・寺院・火葬場の予定や「友引」などの慣習を踏まえ、無理のない日程を組むことで、故人を穏やかに見送る環境を整えられます。また、安置期間が延びる場合の費用やエンバーミングの必要性、訃報の連絡タイミングといった実務面の配慮も重要なポイントです。さらに、通夜・告別式・火葬・精進落としといった一連の流れを理解しておくことで、当日の段取りもスムーズになります。事前の情報収集と準備が、心残りのないお別れのための大きな支えとなるでしょう。
